２０００年３月１５日　朝日新聞 高橋容疑者に殺人罪　 千葉地検起訴 「未必の故意」あった 　千葉県成田市のホテルで無職小林晨一さん（当時６６）がミイラ化した遺体で見つかった事件で、千葉地検は14日、保護責任者遺棄致死容疑で逮捕された「ライフスペース」元代表の高橋弘二容疑者（６１）を、殺人罪で千葉地検に起訴した。重病だった晨一さんを病院から連れ出すように指示した際、高橋容疑者は「死ぬこともやむなし」と決意していたと判断、未必の故意があったとして容疑を殺人に切り替えた。さらに同地検は小林さんの長男健児容疑者（３１）を保護責任者遺棄致死の罪で起訴。逮捕されたほかのメンバー八人は処分保留とした。 　起訴状によると、高橋容疑者は昨年７月２日午前５時ごろ、健児容疑者らメンバーに指示し、兵庫県伊丹市の病院で脳内出血で入院していた晨一さんを、医師の反対を押し切って成田市のホテルに連れてきた。その後、医師による治療や水を与えるなど必要な措置をせず、死亡させたとされる。 　同地検は、「親を救いたい」と思っていた健児容疑者とは違い、高橋容疑者には「死亡するおそれが大きいことを知りながら、それもやむなし」とする決意があったと認定した。逮捕後の関係者の供述などから裏付けがとれたとしている。 　犯罪が高橋容疑者の指示では成り立たず、家族として晨一さんを保護する義務があった健児容疑者らの共犯という位置づけでは不十分だという判断があったとみられる。 　一方、健児容疑者は「救うためだった。司法解剖まで死んではいない」と容疑を否認していたが、千葉地検は「一般的な常識に照らして認められない」とした。 戻る